ムーさんの日常的なこと

気が付きゃアラフォー。毎日まいにち何やってんの?

人間って言うのは哺乳類じゃなくて、むしろ虫に近い グラスホッパーを読んだ

以前、映画「ブレット・トレイン」の記事を書きました

moosan.hatenadiary.jp

 

その際に、原作が気になりつつ、「マリアビートル」ではなくグラスホッパーを買ってきたと言っていたんですが、今日やっとこ読み終わりましたよ

 

グラスホッパー」ってどんな作品?

「人間と言うのは哺乳類じゃなくて、むしろ虫に近い」

「密集して暮らせば、種類が変わっていく。

黒くなり、慌ただしくなり、凶暴になる。気付けば飛びバッタ、だ」

人をトノサマバッタの「群集相」に例えたこの台詞が、この作品の全てだと思う

 

裏の仕事を生業とするキャラクター達

「復讐をし損ねた男」鈴木

過去に、妻を交通事故で失った鈴木

妻の命を奪ったのは、所謂、裏社会で暗躍する、「令嬢」と呼ばれる組織の親玉、寺原の長男

鈴木は、復讐のため、少しでも寺原長男に近づこうと、「令嬢」に契約社員として潜り込む

鈴木は上司である比与子の元、街行く若者達に声をかけ、怪しい商品を売りつけていた

ある日、比与子は「あんたを試さなきゃいけない」とセダンの中で鈴木に言う

これから、寺原長男がここに来て、彼の前で無関係の男女を殺さなければいけないとのことだった

それは復讐のチャンスでもあった

寺原長男が現れ、合流する寸前だった

その男が、目の前で車にひかれてしまう

不自然に飛び出した寺原長男と、現場から逃げる一人の男

寺原長男は、その男に「押された」のは間違いない

比与子に言われるがまま、鈴木は自分の復讐を横取りした、「押し屋」後を追う・・・

 

事故を目撃した「自殺屋」鯨

殺し屋の中でも、特殊な存在「自殺屋」

彼曰く、殺しているわけではなく、彼に会った人間は死んでいくのだそうだ

鯨はその日も一人の政治家の依頼を受け、その秘書とホテルの一室にいた

鯨は自分の手を下すわけでもなく、また、脅しをかけるわけでもない

ただ、ターゲットと話すだけだった

何故か鯨と話した人間は、自分が死ぬことを選択する

この秘書もそうだった

一仕事終えた鯨は、過去の亡霊に導かれ、ホテルの窓から外を眺める

ちょうど、寺原長男が道路に飛び出した瞬間だった

明らかに自分の意思ではない、不自然な飛び出し

「押し屋」

鯨の頭にその言葉が浮かんだ

 

女子どもにも容赦はない「殺し屋」蝉

は、他の殺し屋もやりたがらない、「一家まるごと」始末することも躊躇しない

ナイフのみで容赦なく仕事を片付ける

その日は、ホームレスに火を放った少年と、その家族を、始末する仕事だった

彼には岩西と言う上司がいた

岩西は何かに付け、「ジャック・クリスピン」の言葉を引用するが、蝉はそれにうんざりしていた

「そもそもジャック・クリスピンって誰だ?」

ある映画のワンシーンを見て、「自分は岩西の操り人形で、いつしか手足も繋がれ、自由を失う」ことに不安を感じていた

そうはなるまいと、寺原長男の事件を聞きつけ、独自に「押し屋」を追い、名を上げる算段を立てる

 

全ての鍵は「押し屋」が握る

「やるしかないじゃない。」

亡き妻の言葉に突き動かされ「押し屋」を追う鈴木

そもそも、寺原長男は押されたのか?

追っているのは本当に押し屋なのか?

押し屋は誰に依頼されて寺原長男を狙ったのか?

様々な謎が渦巻く

全ては押し屋に繋がるのだが、押し屋と対峙した鈴木は確信が持てない

むしろ押し屋をかばうことで、自分の身はどんどん危険にさらされていく

蝉や鯨も、それぞれの理由で、押し屋に迫っていく

 

3つの運命が押し屋に繋がって行く

 

読んでみて感じたこととか

裏社会の職種が面白い

偏に「殺し屋」と言っても、蝉みたいな純粋な「殺し屋」がいたり、鯨のような「自殺屋」、事故に見せかけて始末する「押し屋」

他にも、「劇団」と呼ばれる、所謂サクラの様な団体がいたり、「拷問屋」がいたり

実際にいるのかはわからないけど、役割ごとに通称があるのは、妙にリアルに感じる

そんな中、蝉は「人殺しに業界があって、どうすんだっつぅの」って言ってるあたりも好きだな

通称はあるものの、それぞれは認識してなくて、第三者的な立場の人間が勝手にそう言ってるだけだったりするのかもね

 

鯨のエピソードでは亡霊が出てきたりして、少しファンタジーな部分があったりするけど、そこに「自殺屋」としての説得力もあるし、事件の核心に迫ることは亡霊達が教えてくれる

死へ誘う言葉みたいで、「人はみんな死にたいと思っている」なんて言いながら、実は一番死にたがっていたのは鯨なんじゃないかって感じた

 

僕はあまり小説を読み慣れていないんだけど、アクションの描写が凄く読みやすかった

誰がどう動くのかって事もそうなんだけど、画面を意識した言葉選びって言うのかな?

凄く明確に、距離感とか、そこに流れる空気感とか、表現されていました

コミカライズ実写映画化もされているのは納得

時間があれば、映画の方も見てみたいなと思いました

 

とにかく面白かった

次は「ブレット・トレイン」の原作である「マリアビートル」を読もうと思ってます

グラスホッパー」の倍近い容量がある

これは読み応えありそうですね

楽しみです